
こんにちは。そうわ経営パートナーの尾形です。
セミナーラッシュを終えてお盆に入り、気が抜けたのか、手足口病を患ってしまいました(-_-;)
タイピングしようにも指に発疹ができていて痛いし、音声入力しようにも舌に発疹ができていてこれまた痛い。お盆中で本当に良かったです笑。平日だったら、まったく仕事にならないところでした。
さて、それではいってみましょう!
今日のテーマは、とてもご相談の多い「退職金」についてです。
1.退職金と事業承継
事業承継を論じるうえで、退職金の問題は切っても切り離せません。日本企業のおよそ75%は退職金制度を導入しています。制度があれば経営者に限らず、サラリーマンも定年時に受け取ることができます。
ちなみに、この退職金制度は日本独特の慣習のようです。退職金には「賃金の後払い」の性質があるとされます。毎月の給料を少なめにしておき、長年勤めてくれた社員に最後にまとめて払う。まさに後払いの制度です。海外ではこれはあまり受け入れられません。「そんなお金があるなら先に払ってくれ」ということでしょうね笑
経営者の退職金は単に老後の資金というだけではありません。多額の退職金を受け取ることで会社の資産を社外に出し、自社株評価(後継者に渡す会社の株価)を引き下げる。多額の資産を揉めることなく相続するための、現金確保の手段。あるいは、雇われ社長の貢献に報いる報酬などなど。
日本の場合には、給料として受け取るよりも、税制面でも非常に優遇されています。いわゆる「退職所得控除」「1/2課税」「分離課税」の3大メリットです。こちらの詳細はまた今度(^^)/
「事業承継コンサルティングに退職金コンサルティングは欠かせない」とまで言われてきました。
2.本当に必要?経営者の退職金
多額の原資を計画的に貯めていく必要があることから、退職金提案は金融機関と非常に相性の良いコンテンツでした。私も保険業界にいましたので、経営者保険としての退職金提案は数限りなく行ってきました。
しかし、私も事業承継に携わって20年になります。実際に事業承継を完了された経営者の方々も、たくさんお見受けしてきました。
そのたびに思うのです。
経営者に退職金は、本当に必要なのでしょうか。
60歳のときには「65歳で退職する」と言っていた経営者も、大半が定年を延長します。特にバブル崩壊からのこの30〜40年、日本の経営環境は苦難に満ちていました。そんな中、「簡単に自分が抜けるわけにはいかない」という責任感から、65歳、70歳、75歳、80歳と続けられている経営者もたくさんいらっしゃいました。
退職しなければ、当然退職金は受け取れません。受け取ることのない退職金原資が自社株評価をむやみに押し上げ、事業承継を困難にしているケースにもたくさん出くわしました。
もちろん、中には65歳でスパッと定年された経営者もいらっしゃいます。しかし、これは独断と偏見で大変恐縮ですが、経営者は仕事を辞めてしまうと、一気に老け込む気がしております。やはりビジネスの最前線で多くの人の目に触れている経営者は、若々しく活力もあります。仕事を辞めてしまうことで、それらが一気に抜けてしまう気がするのです。
そんなとき、私は思います。この人手不足の時代に、わざわざ経営者が辞める前提のプランニングに意味があるのだろうか。退職金提案など意味がなかったのではないかと。
3.これからの成長時代に検討したい〇〇退職金
もちろん事業承継の文脈では、先代がいつまでも会社にいることは、いいことばかりとは言えません。実権を後継者に渡さなければ、後継者が経営者として一人前に育っていかないでしょう。
しかし関わり方はたくさんあります。一線から退いた会長として、月に数回程度様子を見るだけでもいいでしょう。年齢も鑑みて無理なく会社に貢献し、年金が減らされない程度の役員報酬を受け取り続けることができれば、退職金がなくても老後の不安はありません。むしろ、退職金を1億円受け取っていても、年々貯蓄残高が目減りしていくのは、精神衛生上非常によくありません。
生涯現役で、最後まで必要な分だけ役員報酬が入り続ける。こちらの方がよほど心穏やかに暮らしていけるのではないかと、私は思うのです。
では、この経営者は退職金を受け取ることなく終わってしまうのでしょうか。
いいえ、もう一つの退職金があります。定年のときに受け取る退職金(いわゆる勇退退職金)ではなく、亡くなった場合にご遺族に支払われる退職金。
そう、死亡退職金です。
こちらであれば、亡くなった際に後継者が受け取ることにより、自社株の買取資金や、相続の代償分割交付金(他の相続人に渡す現金)などに使うことができます。また、経営者の定年よりもはるかに先に発生する退職金のため、準備期間も長く取ることができます。
私は事業承継コンサルティングの際、必ずこちらの「生涯現役プラン」を提案していますが、今のところ、すべての経営者に「こちらの方が良い!👀」と言っていただけております。
そうすればいま貯めている退職金原資は、目先の設備投資や採用資金に回すことができます。後継者のために、次の世代を作る資金に充当できるのです。
4月から話題になっている会計検査院の自社株評価見直しに関する有識者会議でも、退職金による自社株評価の引き下げについての是否が言及されています。勇退退職金のメリットは、ますます少なくなっていくでしょう。
ぜひ、経営者の人生全体を俯瞰した退職金プランニングに改めて注目してみてください(^^)/
合同会社そうわ経営パートナー 尾形

